女性にとってありふれた不妊症治療の大敵?子宮筋腫と不妊の関係
不妊症の原因としては様々な理由が考えられますが、排卵がうまくいっていない、精子に問題があるなどの受精前の問題と、例えうまく受精できても着床ができない問題の大きく二つが上げられます。受精卵が女性の子宮内へ辿り着き、子宮内膜に着床して初めて妊娠に至るわけですが、その最後のプロセスがうまくいかない場合、女性側が子宮筋腫を抱えているケースがよく見られます。
子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍のことです。何故できるのかそのメカニズムははっきりとわかっていませんが、子宮の中にできるもの、子宮の筋肉層にできるもの、子宮の外側にできるものと3タイプの筋腫があります。
子宮筋腫のやっかいなところは、自覚症状に非常に乏しいということです。筋腫があるせいで毎月の生理が辛かったり、腰痛がしたり、また筋腫が子宮大きくなって膀胱や腸を圧迫し、便秘や頻尿に陥ることはあるのですが、どれも一般的に生理の時に起こりやすい諸症状と同じため、「自分はこういう体質なんだ」と思い込んで筋腫に気がつかないのです。筋腫も大きくなってくると腹部が圧迫されたような感じがしたりしますが、人によっては小さいまま潜伏し続けることもあり、筋腫の存在に気がつかないまま閉経を迎える人もいます。
おまけにこの子宮筋腫は決して珍しい病気ではなく、40代女性だと3人に1人が筋腫を持っていると言われるほどです。また、若い女性でも子宮筋腫を抱える人は増加しています。
特に大きく成長することがなければ、そのままにして閉経まで待つことも多いのですが、子宮筋腫は子供を望んだ時に壁となって立ちはだかります。筋腫によって子宮が変形し、着床しにくい状況を作り出してしまうため、他に問題がなくとも不妊症を引き起こすことがあるのです。
また、子宮筋腫があると流産を引き起こしやすいとも言われます。赤ちゃんが成長すると子宮はそれにしたがって大きくなっていきますが、子宮筋腫があると子宮が硬く、大きくなりにくいからです。子宮筋腫のある子宮は収縮しやすく、ちょっとした刺激で流産してしまうこともあるようです。
筋腫があるからといって必ずしも不妊症になるとは限りませんが、流産の確率が上がってしまうリスクを考えると、できれば妊娠前にきちんと治療したほうが良いと言えます。もちろん、筋腫の存在が不妊症の原因となっているようならば、子供を望む場合手術が必要でしょう。
子宮筋腫の手術には子宮全摘と筋腫のみ摘出の二つがありますが、不妊症治療のために手術する場合はもちろん筋腫のみが摘出されます。開腹手術になるか腹腔鏡術になるかは、筋腫の大きさや位置などを考慮して決まります。
不妊症治療の切り札的方法、体外受精の方法とそのリスク
不妊症治療の一環として、広く知られるようになった体外受精。精子と卵子を採取して体の外で受精させるというおおまかなしくみはわかっても、その実態はリスクについて把握している人はまだまだ少ないように感じます。
体外受精は高度生殖医療と呼ばれる技術で、健康保険は適用されません。一般的に数十万単位の医療費がかかる高額なものですが、すでに受精した卵子を子宮内に戻すという方法ゆえに、人工授精よりも高い妊娠率が得られます。体外受精が行われるのは卵管の状態が悪く精子と卵子が自然に出会うことができない、精子に何らかの問題がある男性不妊などの場合です。体の外で強制的に受精させてしまうのですから、あとはきちんと着床するかどうかがカギとなります。
体外受精の一連の流れとしては、まず母体の調子を整えた上で排卵を誘発し、採卵。男性は精子の採取をし、培養のための容器内で受精させます。無事に受精できたら、受精卵を子宮の中へ戻し、後日妊娠できたかどうかの判定を血液検査や尿検査で行います。妊娠が確定するまで、それを繰り返すわけです。採取した卵子が余った場合は、次の治療のために凍結して保存する処置がとられることもあります。
体外受精は高額な費用がかかるだけでなく様々なリスクもあるため、挑戦するには夫婦でよく話し合いリスクを知った上で行うことが望ましいです。まず、体外受精では健康な卵子を採取する必要があります。通常は一度にひとつずつ排卵される卵子ですが、体外受精ではよい卵子がたくさん必要なため、一度にたくさんの卵子を体の中で育てる必要があるのです。それには排卵誘発剤を使用するケースがありますが、採取する前に排卵してしまっては困るため、同時に排卵を抑制するための薬も使用します。このことが、母体にとっては大きな負担となるのです。
また、一度の体外受精で妊娠に至らず、体外受精を繰り返す場合、採卵や受精卵移植のために何度も卵巣や子宮壁に針を刺すこととなります。細い針で一度のダメージは少ないとしても、それが度重なると卵巣にも負担がかかることは間違いないでしょう。
そして体外受精は多胎妊娠になりやすいとも言われています。受精卵を移植しても必ず着床する保障はないため、一度に複数の受精卵を移植するためですが、案外知らない方が多いのではないでしょうか。子供を一人だけ望むという場合は、是非知っておいたほうが良いことです。
高額な医療費、体への負担……それでもそれらを乗り越えて子供が欲しい!という強い意志が、体外受精には必要だと言えるでしょう。また技術だけに頼らず、自分でも生活習慣を整えるなどして、妊娠に至りやすい体づくりを心がけることも大切です。
パートナーの心はどこにある?不妊症治療で夫婦が直面しがちな課題
不妊症治療で最も大きなカギとなるのは、薬でも高度な技術でもなく、夫婦の関係と言えるのではないでしょうか。妊娠は一人ではできません。男性の精子と女性の卵子があってこその妊娠出産です。ですが、不妊症に悩む夫婦には、それ故に抱えてしまう夫婦間の問題も多くあるようです。
まず、夫婦の「男性として」「女性として」の自尊心の問題があります。不妊の原因が自分にあった場合、「自分のせいでパートナーに子供を抱かせてあげられない」と自己嫌悪に陥ってしまうのです。当事者の苦悩を知らない周囲から子供せかされるような言葉を投げかけられるたびにその思いが強くなり、中には罪悪感から離婚の二文字が頭をよぎる方もいるようです。
次に、不妊症治療とは切っても切り離せない夫婦生活の問題です。排卵日を予測して性行為を行う日を医師が指導するタイミング療法は、不妊症治療の第一歩として行われるものですが、その時、特に男性側は心の問題に直面することがあります。それは、性行為を第三者に管理されているという屈辱感のようなもの。男性にとって性行為は、本能の衝動で行う部分が大きいもの。それを他人に指示されるのは我慢ならないと感じる人もいるようです。
そのような時、夫婦の間で不妊症治療に対する考えの相違があると、夫婦間に大きな亀裂が入りかねません。例えば妻は妊娠したい気持ちが強く、それ故に「今日は医師が指導した日だから」と性行為を求めても、夫は「自分は子作りのための機械じゃない」と感じてなかなか受け入れられないといったケースです。そのような心のずれを放置しておくと、不妊症治療にも関わらずセックスレスになったり、精神的な問題で夫がEDに陥ってしまうなど大きな問題に発展してしまうことがあります。最悪、そこから夫婦の不和に繋がって不妊症治療中に離婚というケースも。
性生活に関して、男性は女性が考える以上にデリケートな部分があります。治療の身体的負担や精神的負担で、それを省みることを忘れてしまう女性も中にはいるようですが、男性のそんな気持ちを理解する努力も必要なのです。
また逆に夫も、妻の「妊娠したい、愛する人の子供が欲しい」という思いが本能から生まれる強い欲求であることを理解する努力が必要です。女性の体は生まれたその時から、将来子供を産むための準備を始めます。卵子のもとになる細胞は、女性が赤ちゃんの頃からすでに体内に存在しているほどです。「何故そんなに出産に執着するのか」と男性は思うかもしれませんが、その欲求は生き物として自然なことだと知りましょう。
不妊症治療は、時に夫婦の考え方の相違、価値観の食い違いを浮き彫りにしてしまいます。そこをどう話し合い、共に理解し合って乗り越えていくか。不妊症治療は夫婦の心の課題も解決しながら進めていかなければならないのです。
よりフラットな気持ちで臨むために知っておくべき不妊治療の現状
不妊症治療を続けていると、どうしても自分達の状況にばかり着目しがちで、視野が狭くなってしまうことがあります。そうなると思わぬ負の感情に囚われてしまったり、どうしようもなく行き詰った気持ちを感じることもあり、スムーズな治療を続けるのが難しくなる場合も。まずは不妊症治療の現状を把握し、広い目線で不妊症治療を見つめていくことが必要と言えます。
近年、不妊症治療によっての出産を明らかにする有名人が増えた影響もあってか、「不妊症治療という選択をする人がいる」「高齢でも出産のチャンスがある」ということは知られてきたと思います。しかし不妊症治療の実態についてはまだまだ知られておらず、その苦しみは当事者にしかわからないという現状があります。当事者にならなければ理解が難しいのは、不妊症治療を希望する人が、治療を始めてみて「こんなに辛いとは思わなかった」と吐露することがあることからもわかります。
日本で行われている不妊症治療は、タイミング療法、排卵誘発剤を使用する方法、それでも授からなかった場合、夫の精子を採取して妻の子宮内に注入する人工授精や、精子と卵子それぞれを採取して受精させる体外受精があります。人工授精や体外受精は高度生殖医療と呼ばれ、健康保険の適用外のため相応の費用が必要なことは、それらの治療を始める際に知っておきたいことです。
また、第三者からの卵子提供や代理母の出産に関してはまだまだ議論が繰り返されています。特に代理母については、生まれた子供の戸籍の問題などもあります。そのような現実もあり、疾患などで子宮や卵巣を摘出した人が子供をもうけることは、今の日本国内では難しいと言わざるを得ません。そのような方は海外に渡って卵子提供や代理母出産にトライするしかなく、それには途方もない費用がかかります。
さらに、これまで不妊症は女性側の問題ばかりに着目されてきましたが、近年ようやく男性側が問題を抱えるケースもあると知られるようになってきました。不妊症は女性のせい、という考え方はもう古いのです。ただし、男性側の不妊症治療については女性の不妊症治療に比べて進んでおらず、まだまだ発展の余地があると言えそうです。
不妊症治療は、検査や処置、投薬などで特に女性の体に負担がかかるもの。しかし医療技術はどんどん発展を続けており、これまでだと妊娠できなかったようなケースでも、治療により妊娠が可能になってきています。とはいえ不妊症治療は出口のないトンネルのように感じられ、それが心の負担となることもあります。いつの間にか生活の中心が不妊症治療になってしまうケースも見られますが、それは良い状況とは言えません。
治療を進めるうちに、夫婦だけの閉じた世界に篭ってしまっていないでしょうか。フラットな気持ちで治療をするには、時には原点に立ち返って「不妊症治療とは何か」見つめなおしてみましょう。
手軽に飲んで妊娠力アップ!不妊症治療を助けてくれるお茶って?
生活習慣の乱れやストレスなどが引き起こすこともある不妊症。それらの改善を考える時に、不妊症に効果のあるものを手軽に取り入れられるなら、是非そうしたいものです。お手軽かつ日常的に取り入れやすいといえば、お湯で煮出すだけのお茶が思い浮かびますが、不妊症に効果があると知られるお茶が二つあります。
まず一つ目のお茶、ルイボスティー。カフェインゼロで渋味成分であるタンニンの含有量も少なく、優しい味のするお茶です。ルイボスティーにはポリフェノールの成分が多く含まれているため、活性酸素を除去し、その増加を防ぐ働きがあると言われています。活性酸素は細胞を傷つけ劣化させてしまうことで知られる、いわゆる体内の悪玉要素。その魔の手は卵子にまで及んでしまうのですが、ルイボスティーはその活性酸素除去効果で卵子を守る手助けをしてくれるのです。
活性酸素を除去し増やさないことは、良質な卵子を育てる上で大切な事と言えるでしょう。また、ルイボスティーは男性にも効果的であるとされ、特に精子の運動率がよくない「精子無力症」に良いと言われます。男性にも女性にも効果があるとは嬉しいお茶ですね。最近ではティーバッグになっているものも売られているため、より手軽に日常生活に取り入れることができるでしょう。
もう一つ、不妊症に効果があるとして知られているのはタンポポ茶です。ええ、春先に可憐な黄色い花をつける、あのタンポポです。タンポポ茶に含まれるタンポポT-1という物質は、卵胞刺激ホルモンや黄体ホルモンを分泌するための司令塔である脳下垂体に直接作用し、活性化させる働きがあります。それにより乱れたホルモンバランスが整い、不妊症の改善が期待できるというわけです。また、タンポポ茶には毛細血管を拡張させる効果もあり、活性化した脳下垂体によって分泌されたホルモンは、血流に乗って体の隅々まで届きます。
毛細血管が拡張されて血流が改善すれば、冷えの改善にも繋がります。婦人科の臓器にとって冷えは大敵。こんな側面からもタンポポ茶は不妊改善の助けになってくれます。また肝機能を改善する効果もあるため、不妊症治療の投薬で疲弊した肝臓にも良いと考えられます。タンポポの薬草としての効果は非常に高く、漢方の世界やヨーロッパでは古くから薬用として使われてきた歴史があるほどです。
タンポポ茶も、ルイボスティーと同じくノンカフェインのお茶ですので、妊娠中や授乳中、またこれから妊娠を目指そうという人でも安心して飲むことができます。まずは、普段のコーヒーや紅茶をルイボスティーやタンポポ茶に置き換えることから始めてみてはいかがでしょうか。
たくさんできても困りもの?不妊症の原因にもなる多嚢胞性卵巣症候群
多嚢胞性卵巣症候群という病名を聞いたことがあるでしょうか。PCOとも呼ばれるなんだか小難しい名前のこの病気、場合によっては不妊症の原因ともなる少しやっかいなものだったりします。
通常、卵子は卵巣の中で、ひとつひとつ小さな袋に入った状態で成長していきます。その袋のことを卵胞と呼びますが、多嚢胞性卵巣症候群はその卵胞がたくさんできすぎて、排卵がうまくできない状態を言います。
不妊症に悩む方の中には、「卵子のもとがたくさんできてるなんてありがたいことなのに、何故?」と思う方もいるかもしれません。確かにそれが順番に成長し、一つ一つ問題なく排卵されれば本当にありがたいのですが、多嚢胞性卵巣症候群では未成熟な卵胞がネックレスのように連なって卵巣内で詰まる上、卵巣の皮膜が硬くなる傾向にあり、排卵が難しくなるのです。
多嚢胞性卵巣症候群になると、さまざまな症状が引き起こされます。排卵障害がまず上げられる症状ですが、それにより生理不順になったり無月経になることも。また、卵胞内ではテストステロンなどの男性ホルモンも作られるため、男性ホルモンの濃度があがり、声が低くなったり筋肉量が増える、毛深くなるなどの「男性化」が起こるケースもあります。さらに女性ホルモンのひとつ、黄体ホルモンのバランスが崩れて月経過多になることもあります。
では何故このようなことが起こるのでしょう。原因としては、生活習慣の乱れやストレス、ホルモンバランスの乱れ、遺伝的な要素など諸説ありますが、はっきりしたことはわかっていません。ただ、主に思春期に発症し加齢に伴って悪化していくケースが多くあるようです。
多嚢胞性卵巣症候群による排卵障害で不妊症に陥った場合、排卵誘発剤を使って未成熟なまま溜まっている卵胞を成熟させ、排卵まで導くという治療法があります。排卵誘発剤を使うと卵巣過剰刺激症候群と呼ばれる副作用を引き起こしやすいため注意が必要ですが、たまった卵胞をどうにか外に出してつまりをなくさなければなりません。
他に外科的処置を行うケースもあり、その場合は腹腔鏡下手術で卵巣の表面に小さな穴をたくさん開けます。それにより排卵を促すというわけです。
卵巣過剰刺激症候群が必ずしも不妊症を導くわけではありませんが、排卵障害が起きるため不妊症になる可能性は大いに高まります。卵巣過剰刺激症候群かどうかは血液検査や卵巣の超音波検査で確かめることができますが、自分でも基礎体温をつけ月経周期をきちんと把握するなど、日頃から異常を発見しやすいようにしておきましょう。
高齢出産は是か非か?不妊症治療の高齢化に伴う思わぬ課題
近年の日本では晩婚化が進み、不妊症治療による高齢出産が増えてきました。一般的に35歳過ぎてからの出産を高齢出産と呼びますが、最近では医療技術の発展により、50代で妊娠出産という超高齢出産の事例も見られるようになっています。高齢での不妊症治療、そして出産は様々なリスクを伴うとはよく言われますが、それでも諦めないでチャレンジする人は多くいます。
高齢で不妊症治療に挑戦する時は、タイミング療法などの一般的な治療は短期間で、すぐにそれ以上の高度生殖医療に以降することが多いです。特に年齢が高い場合は、女性の閉経というタイムリミットがありますのでその傾向があるようです。
高齢になってから不妊症治療をする人の中には、「生理がある間はいつでも妊娠できると思っていた」など、自分自身の体についての知識不足から現状を招いてしまったケースも見受けられます。まずは自分の体についてよく知りましょう。生殖器官は臓器の中でも特別なようなイメージがありますが、他は老いていくのに生殖器官だけが若いままということはまずあり得ないことなのです。
また、高齢出産にはやはり多くのリスクを伴います。流産の危険性や妊娠中毒症など母体のリスクはもちろんですが、胎児の先天性異常など生まれてくる赤ちゃんも大きなリスクを背負うケースも十分に考えられます。卵子の老化や子宮内環境の悪化など、想定される理由は様々ですが、高齢で不妊症治療を考えている場合は大きなリスクに対する覚悟も必要なのです。
そして、高齢での不妊症治療で無事妊娠に至り、健康な赤ちゃんが生まれたとしても、生まれてきた赤ちゃんは避けようのない大きな課題を抱えることになります。それは、親が高齢であるということ。
例えば、50歳で出産した子供が成人するとき、親は70歳です。おそらく仕事は退職しているでしょうが、年齢的に子供は大学生。まだまだ教育費がかかる年頃なのです。また、親が健康なうちは良いのですが、70歳といえば老化により様々な健康障害を抱えて悩んでいてもおかしくはありません。場合によっては、子供は20代のうちから親の介護という問題に直面することになるでしょう。
子供は産んでしまえば終わりではなく、むしろ出産はスタートと言えます。妊娠することだけに意識が向いてしまっていないでしょうか。出産したその後の自分と子供の人生のことを、きちんと考えていますか?
高齢での出産には、身体的なリスク以外にも大きな課題があるのです。「妊娠したい、子供が欲しい!」という気持ちばかりを先行させず、産んだあとの家族みんなの人生設計についても、しっかり考えながら治療を進めていかなければならないと言えるでしょう。
信頼できるいい病院と出会いたい!不妊症治療の病院を上手に選ぶコツ
不妊症治療を決意した時、まず訪れるハードルは病院選びでしょう。不妊症に限らず、初めてかかる病院選びは誰もが慎重になるところですが、不妊症治療というデリケートなケースでは特に病院選びで悩むことがあるかと思います。
不妊症治療の病院を選ぶには、いくつかのポイントがあります。まず最優先したいのは、そこが不妊症治療専門の病院であるか、産婦人科の場合は産科と婦人科の待合室が分かれているかどうかという点です。
それが何故なのかはいざ治療を始めたらすぐにわかります。「産婦人科」とは主に出産に関する部分を受け持つ「産科」と、子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患を治療する「婦人科」が複合したものです。そのため、産科と婦人科の待合室が同じだと、すでに妊娠している患者さんと多数すれ違うことになり、それは不妊症治療をしている身にとって想像以上に辛く、苦しい思いを抱くことになるからです。
産科の患者を気にせずに不妊症治療を受けられるよう配慮がなされている病院は、より患者の立場に寄り添った考えであると言えるでしょう。たとえ待合室が同じでも、産科との診療時間が分けてあるなどの工夫があれば、余計なストレスを感じることなく治療に専念できます。
次に、できることとできないこと、治療の順序立てなどをはっきり明示してくれる病院を選びましょう。不妊症の治療は、それ専門の医療機関でなければ行って早々体外受精、などということはなく、段階を踏んで行っていくものです。その病院で行われる主な治療の順序立てや、行っていない治療の明示、そしてできる範囲内での治療で駄目だった時は、スムーズに他のステップを踏める技術をもった病院を紹介してくれるようなところは、信頼できると判断しても良いでしょう。
ひどいケースでは、詳しい説明もされないまま、排卵誘発剤の注射を打たれてしまったなどという話も聞きます。ろくに説明もせず医師の考えだけで治療を押し進めるなど言語道断です。不妊症の患者はストレスを抱えやすく不安になりやすいため、患者の話や訴えに真摯に耳を傾け、些細な疑問にも答えてくれる医師が不妊症の治療には必要です。病院によっては専門のスタッフが不妊についてのカウンセリングを受けてくれることもあり、そのようなシステムの整った病院を選ぶと良いでしょう。
不妊症治療は病院との信頼関係が非常に大切です。通ってみて、話し合っても納得いかない部分が出てきたり、通院そのものが辛くなるような原因が病院側にあった時は、病院を変えることも視野に入れてみましょう。
不妊症治療のパートナー薬「排卵誘発剤」の効果とそのリスクとは
不妊症の治療を進めるにあたって、そのパートナー薬とも言える排卵誘発剤。不妊症の治療ではごく一般的に使われる薬なのですが、言葉のイメージから、どことなく強い作用の薬で副作用が大変そう……と思っている方もいるようです。
排卵誘発剤は主に、様々な事情により生理周期に伴う排卵がうまくいっていない時に使用します。ただし、体外受精の採卵のためや黄体ホルモンの分泌を促しホルモンバランスを整えるためなどの理由で、自然排卵があっても使うケースもあります。
排卵誘発剤には飲み薬と注射があり、飲み薬は注射に比べてその作用が軽く、注射薬は飲み薬よりも効果が高いことが知られています。一般的には飲み薬から始めて様子を見ながら、注射に切り替えていきます。
飲み薬の排卵誘発剤は、脳に働きかけて「卵胞刺激ホルモン」の分泌を促します。卵巣内にある卵子の大元「卵胞」は、卵胞刺激ホルモンの刺激によって成長を始めるため、まずはそのホルモンを分泌させるための補助を薬で行うわけです。飲み薬にも作用の強いクロフェミン製剤、弱いシクロフェニル製剤の二種類があります。
飲み薬でも作用の強いものは、排卵誘発剤としての効果をより期待できますが、やはり薬ですので同時に副作用のリスクを抱えることにもなります。よく知られた副作用としては、子宮頚管の粘液の減少が上げられ、頚管粘液が減少すると、精子が通りにくくなってしまうリスクがあります。また、子宮内膜が薄くなるという副作用もあり、飲み続けていると逆に妊娠しにくくなるという一面もあります。そのためこれらの服薬は3~4周期の使用に留めておいたほうが良いともされています。
飲み薬が脳に作用してホルモンの分泌を促す一方、注射薬はホルモンを含んでおり、卵巣を直接刺激して排卵を促すものです。そのため高い効果が期待できますが、場合によってはお腹の張りや痛みなどの副作用も起こります。また、卵胞が過剰に刺激されすぎて卵巣が腫れる「卵巣過剰刺激症候群」という副作用を引き起こすケースもあります。卵巣過剰刺激症候群は重症化すると腹水や胸水がたまるなど、体に大きな負担がかかります。
また、卵胞への強い刺激で一度に複数の卵子が排卵される「多胎」が発生することがあります。いわゆる双子や三つ子などです。子供がたくさんできることに喜びを感じる人もいるかもしれませんが、多胎は母体や胎児への負担が大きいということを忘れてはなりません。
不妊症治療にとって排卵誘発剤は心強いパートナーですが、むやみやたらに使うものではありません。きちんとした計画性をもって、医師とよく相談し、副作用との折り合いをつけながら慎重に使っていきたいものですね。
女性にとって心も体も辛い不妊症治療を乗り越えるための心構え
いざ妊娠を目指して不妊症治療を始めた後、特に女性は辛さを訴える方が多くいます。精神的にも身体的にも、不妊症治療の上で女性の負担は非常に大きく、それらを辛いと感じるのは無理もありません。
投薬で気分が悪くなったり、卵管造影剤の使用時や卵管への通水処置などに痛みを感じるなどの身体的な辛さはもちろんですが、次第に家計を圧迫してくる治療費についての悩みや治療のための通院にかける時間の捻出、信頼できる医療機関や高度生殖医療のできる病院が近くにないなどの現実的な問題も、いざ治療を始めるとたくさん出てきます。
また、治療に終わりが見えないことへの不安、周囲の妊娠出産への嫉妬や自分にできないことへの落ち込みなどの心の負担も多くあり、それが元で夫との仲がぎくしゃくして余計不妊症治療が辛く感じてしまうことも少なくないようです。
心も体も辛く感じることの多い不妊症治療を乗り越えるためには、ある程度の心構えが必要となります。まずは、辛い気持ちを無理に我慢せず、辛いことは辛いときちんと受け止め、それをどこかに吐き出すこと。落ち込んだり悲しんだりすることは、そのことから立ち直るためには実はとても大切なことです。インターネットの掲示板などで、同じく不妊に悩む人たちと悩みを打ち明けあい、辛さを分かち合って前向きな気持ちを取り戻す人もいます。辛さを押し殺して頑張りすぎるのは毒にしかなりません。
そして最も身近で不妊症治療のパートナーである夫との心の繋がりを深めることが非常に大切です。まずは夫婦で対話をすることから始めましょう。特に男性は、女性の話を途中で遮って、直接的な解決方法などの結論を出したがる傾向が強いですが、まずは相手が話し終わるまで黙ってじっくりと聞き役に回りましょう。話をする時はテレビなどの雑音はシャットアウトし、二人だけで向かい合える環境を整えると良いです。
舅や姑、親戚などの追い詰めるような「子供はまだなの」という声は、辛いでしょうが出来る限り聞き流すようにしましょう。彼らは不妊症治療の当事者ではないのですから、本当の辛さはわかりません。ただ、自分が思う疑問などを通りすがりにぶつけているだけにすぎません。それよりさらに遠い関係のご近所のそういった言葉など、挨拶程度に思っておけば良いのです。
身体的に治療が辛いと感じる場合は、医師とよく相談して下さい。納得できないようであればセカンドオピニオンを視野に入れても良いでしょう。デリケートな問題だからこそ、自分が心から信頼できる医師に任せたほうが、より安心感を得られます。
大切なのは「辛い」という気持ちをそのまま溜め込んでしまわないこと。子供を望み辛さに耐え忍ぶことは一見美しいかもしれませんが、あなたの心や体にとってプラスになるとは限らないことを知りましょう。
